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★ハッピィ吉沢からのメッセージをインタビュー形式でお届けします。

 


 

■50歳を過ぎても、第一線で活躍できる秘訣は何ですか?

インプットする事を怠らない事ですね。芸を磨く努力で、 一人前のパフォーマーになれると思われていますが、パフォーマンスとは≪インプットした物をアウトプットする作業≫です。実は、芸の他にもそれまでの学生生活や社会人として学んだ事も生かして、その人ならではのパフォーマンスが構築されています。更にパフォーマーとしての場数を踏む事によって、引き出しが増えて芸が深まります。そうした20歳代〜30歳代のインプットの努力が結実するのが30歳代〜40歳代の頃ですね。 ところが、努力が結実して成果が現れて来ると、人はインプットする事を忘れてアウトプットする事に専念してしまいます。すると、いつしかアウトプットできる物が手詰まりになる…それが、 40歳代後半〜50歳代の危機です。


■身体的な事ではないのですね?

もちろん、身体的にも問題は生じます。僕の場合は、40歳後半にひどく腰を痛めてしまった事があります。その時に気づいたのが、日本の伝統芸能の方々の活躍振りです。同じ身体を 酷使する芸術なのに、40歳半ばでようやく中堅で、本当に力を発揮できるのは50歳を過ぎてから…。その秘密が知りたくて、古武術を研究したり日本舞踊を習い始めました。おかげで、≪筋肉重視≫の西洋的な身体技法に相対する≪骨重視≫の日本的な身体技法に転じる事ができたのも、大きな転機でしたね。そう、これも大事なインプットです。
歌舞伎もそうですね。初めは敷居が高いと思って気後れしていたのですが、実際に舞台に足を運ぶと、「なんて奇抜で面白いのだろう」と感激して、それから毎月欠かさず歌舞伎座に通いました(笑)。片岡仁左衛門さん、 中村勘三郎さんの虜になり、市川海老蔵さんにも惹きつけられて…。いつしか「この素敵な歌舞伎を何とか 自分のパフォーマンスに取り入れたい」との思いが芽生えていました。


■≪歌舞伎バージョン≫の誕生ですね?

その前に、≪パイレーツ・バージョン≫と言うのを40歳代半ばに作ったのですが、この時はたった一日でできてしまったのです。ある時、家で『パレーツ・オブ・カリビアン』のサントラCDを聴きながら動いてみたら、自然に悪者キャラが出て来ました。これは行けるかも?…と感じて、翌日のショーで演じてみたら、これがまた大いに受けて…。 まだ、メークも衣装も≪ハッピィ・バージョン≫のままなのに、曲だけで行けちゃいました(笑)。 ≪パイレーツ・バージョン≫は、≪ハッピィ・バージョン≫のアンチテーゼなので、とにかく怖くて無愛想な悪者が 悪戦苦闘するように進めれば良かったので楽でしたね。こんな風に、良い作品は得てして簡単に誕生しちゃうんです。 その後、歌舞伎に足を踏み込んだので、歌舞伎の見得とか六方とかも≪パイレーツ・バージョン≫に取り入れて、 それがまた見事にハマりました。怪しげな海賊が見得を切るなんて、いかにも歌舞いているじゃないですか(笑)。

■それが≪歌舞伎バージョン≫に繋がるのですね?

パイレーツ・バージョン≫で歌舞く事に成功したので、そのまま≪歌舞伎バージョン≫に行けると自信を持って1年間掛けて準備しました。ところが、用意周到に準備した方が難産になるのも良くある話で…。実際に演じてみると、 予想外の違和感があったんです。西洋風の海賊が見得を切ると歌舞くのに、和の歌舞伎の格好で見得を切っても、何故か歌舞かないんです。あんなに派手な隈取と衣装なのに、意外性がないんですね。「うわー、これは大変な事になったな」と頭を抱えました。≪パイレーツ・バージョン≫の方が明らかに面白いのに、このまま≪歌舞伎バージョン≫を演じても良いのか?と…。 でも、将来のためにはここで手を引いてはダメだ!と心に決めて、≪歌舞伎バージョン≫で攻める事にしました。 それに、ほんの思い付きでできた作品に、用意周到に準備した作品が負けたままと言うのも、悔しいじゃないですか。 よし、10年掛けて、≪パイレーツ・バージョン≫を超えるパフォーマンスに仕立てあげてやるぞ!と。


 

 

■それだけ≪歌舞伎バージョン≫に演じる意義があるのですね?

日本の伝統芸能って敷居が高いですよね。でも、日本人が自国の伝統芸能に興味が薄いって悲しいじゃないですか。 実際に観たら、歌舞伎や狂言なんて本当に面白いのに…。その敷居を少しでも低くするためにも、≪歌舞伎バー ジョン≫を演じ続けたいですね。また、身体面でも、古武術を勉強したスポーツ選手が活躍したりして、日本ならではの優れた身体技法がある事を、みんな忘れてしまっている。そんな宝物が、日本の伝統芸能の中には確かに受け継がれているのに、学ぶ機会がないなんて損ですよね。幼稚園でお遊戯の代わりに日本舞踊を教えたり、童謡の代わりに長唄を教えたら良いのですけど…。だって、うちの下の娘は2歳の時に、市川染五郎さんの歌舞伎のDVDばかり見てましたからね(笑)
日本人に生まれた意味をしっかり見つめ直すと、西欧からもたらされた≪自然を支配する文明≫よりも、日本古来の≪自然を畏怖する文明≫が大切な事にも気づけるはずだと思うんですけど…。